とらぶる☆とらんすふぁ 第十話

私が仰向けになり、お兄ちゃんが上になった。いわゆる正常位というヤツだ。私は少し股を広げ、お兄ちゃんが入ってくるまで目を瞑った。確か初めてのセックスは痛いという。友達の裕子の話だと、処女膜が切れて、血がいっぱい出て、この世の痛みとは思えなかったと言っていた。この世の痛みとは思えない痛みというと、どのような痛みなのだろうか? 私は想像が膨らみ、益々怖くなってしまった。

「じゃ、いくよ。亜紀……」

私は死刑囚が刑の執行の場へ行くような気持ちで、お兄ちゃんが入ってくるのを待ち構えた。お兄ちゃんは片手で私の大陰唇を開き、もう片方の手で自分のおちんちんを支え、私の中へ押し入れようとする。私はもう少しで「やっぱり、待って!」と叫びそうになったが、両手で口を塞ぎ、我慢した。これは誰もが必ず通る道。避けてしまってはその先に待っている筈である、エルドラド(理想郷)を求めることはできないのだ。

「亜紀……。入ったよ」

え? あれ? 入った? 確かにお兄ちゃんはそう言った。少し身を起こして、お兄ちゃんとの結合部を見てみると、確かに奥まで全部入っている。でも、私は全然痛くなかったよ? どうして? などと頭の上にクエスチョンマークをいっぱい作っていると、一つの仮定が浮かんだ。何度も言うようだが、この身体は遥さんのであり、私の身体ではない。つまり、私は処女であっても、遥さんが処女かどうかは伺い知れないのだ。ここから導き出される答えは、そう、遥さんは処女ではない、ということだ。どうやら私は遥さんの外見を見て、処女だと決め付けていたのかもしれない。人間、外見だけではわからないものだ。

「大丈夫か? 亜紀」

「うん、大丈夫。動いても大丈夫だよ」

「そうか。じゃあ……」

お兄ちゃんはゆっくりと前後運動を始めた。処女であろう私を気遣ってのことだと思うが、私は全く痛くない。これではお兄ちゃんが気持ち良くないのではないかと思って、私はお兄ちゃんに声をかけた。

「お兄ちゃん、もっと激しくしても大丈夫だよ」

「でも、それだとお前が……」

「大丈夫。私のことよりも、お兄ちゃんが気持ち良くなって欲しいの……お願い……」

「亜紀……」

本当は私がもっと気持ち良くなりたいから言ったのだが、あれでは「私が犠牲になってでもお兄ちゃんを気持ち良くしたい」という風に聞こえたかもしれない。でも、その気持ちもあるから間違ってはいないのかな? そんなことを思っていると、お兄ちゃんのピストン運動が早くなった。ベッドの軋む音と、お兄ちゃんの下腹部と私の下腹部がぶつかる音が部屋中に鳴り響いた。

「亜紀、お前の中、気持ちいいよ……」

「んっ、あんっ、私も、私も気持ちいい……」

一心不乱に腰を動かしているお兄ちゃんが、私の顔を見ながら言う。お兄ちゃんが一生懸命になっている。その顔が心から愛しく思える。すると私はまたお兄ちゃんとキスをしたくなってしまった。

「お兄ちゃん! キス、キスしたいよぉ……。もっと、もっと激しくしてもいいから……キスしてぇ」

私がそう言うとお兄ちゃんはすぐにキスをしてくれた。私の舌を吸い込むスロートキス。それと同時にお兄ちゃんの腰の動きも早くなり、エッチなお汁の音も大きくなった。上のお口にはお兄ちゃんの舌、下のお口にはお兄ちゃんのおちんちん。今の状況を二文字で表すなら『至極』。まさにこれこそがエルドラド(理想郷)。この上なく気持ちいい。私は初めてのセックスなのに、絶頂を迎えようとしていた。

「亜紀! オレ、もう……」

「私も、私もだから……一緒に、一緒にっ」

お兄ちゃんはラストスパートをかけた。お兄ちゃんはずっと動きっぱなしで私よりも疲れている筈なのに、どこにこんな力を残していたのか、今までよりも激しく、お兄ちゃんのおちんちんの先っぽが、私の子宮をズンズン突いた。お兄ちゃんが動く度に、私は悦びの嗚咽を漏らす。すると突然、お兄ちゃんのおちんちんが私の膣の中でビクンッと振るえ、お兄ちゃんはすかさず腰を引こうとした。

「だ、ダメぇ!!」

私は思わずそう叫び、両脚でお兄ちゃんのお尻を挟むようにして引き寄せると、お兄ちゃんは「うっ」と呻き、苦悶の表情を浮かべ、私の膣内に射精した。お兄ちゃんのおちんちんは長い間、精液を出し続け、何度も何度も私の子宮口をノックし続けた。私は以前から、お兄ちゃんと初めてのセックスをする時は、絶対に膣に出してもらおうと決めていたのだ。

「亜紀……。お前、なんで……」

「勝手なことしてゴメンなさい……。でも、初めての時ぐらいは、お兄ちゃんの全てを感じたくて……。それに、お兄ちゃんだって気持ち良かったでしょ?」

「亜紀……」

お兄ちゃんは「しょうがないなぁ」と言いたげな顔で、私の髪を撫でた。私はそれがくすぐったくて、つい笑みがこぼれてしまった。私は本当に幸せ者だ。大好きなお兄ちゃんに告白してもらえて……。そして、大好きなお兄ちゃんに抱いてもらえて……。これからもずっとお兄ちゃんと一緒にいられる。その事実だけでも、私は天にも昇る気持ちになれた。

「ねぇ、お兄ちゃん……。今日はお父さんもお母さんも帰って来ないから、一晩中エッチしよ? ね? いいでしょ?」

私はそう言ってお兄ちゃんにエッチなおねだりをしてお兄ちゃんの方を振り向くと、お兄ちゃんは気持ち良さそうな顔をしていた。「なんでだろう?」と不審に思って身を起こすと、そこにはお兄ちゃんのおちんちんを舐めている『私』がいた。遥さんの身体ではない、本物の私だ。

「あら、おはようございます。亜紀ちゃん」

お兄ちゃんのおちんちんを愛しそうに舐めている『私』は、遥さんの身体である私が驚いていることに気付くと、そう声をかけてニッコリ微笑んだ。

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