765プロのバレンタイン 第六話


● 真の場合 ●

「あっ、プロデューサー!」
「おお、真! 表に大量のチョコを積んだダンプが3台とまってたぞ。アレは全部、真のファンからの贈り物か?」
「はい…、気持ちは嬉しいんですけど、本当に数は暴力ですよね…。ファンからの贈り物を捨てちゃうワケにはいかないし、かと言って貸し倉庫を借りると一ヶ月に数百万かかるらしいし…一体どうすれば…」

頭を抱えて悩みだす真。

「やよいだ。やよいにやろう真。765プロのみんなに配りまくれば結構減らすことができると思うぞ。あと、メッセージカードとか手紙だけ抜いて、中身は街頭で配るゲリライベントでもやるか? ティッシュ配りみたいに」

「は、はい…。ご迷惑をかけてすみません…」
「じゃあ、手配してくるから待っててくれ」
「はい…って、待ってくださいプロデューサー!」
「ん? まだ何かあるのか?」
「今日はその…バレンタインじゃないですか?」
「ああ、そうだな。だから真がこんなに困ってるんだ。早くなんとかしないとな」
「うわあ! そうじゃなくてっ!」
「え? 何かおかしなこと言ったか?」
「い、いえ! プロデューサーが、ではなくてですね…その…」
「どうしたんだ? 今日の真はなんかおかしいぞ?」
「実はその…プロデューサーにあげるチョコを作ってきたんです…」

真はそう言って後ろ手に隠し持っていたチョコを、俺の前に差し出す。

「おお、真が…俺にか!?」

やっべ、真が女の子だったの、素で忘れてた…。(汗)
でも、このことを真に言うと傷つけちゃうから、黙っていよう…。

「はい…手作りチョコは初めてだったので、あまり自信はないのですが…」
「ありがとう、嬉しいよ真」

俺はそう言って真からチョコを受け取り、包装紙を取り、中身を見ると…。

「へへ〜、ゾウの型を使って作ったチョコなんですよ!」

こ、これはゾウって言うか…。
持ってくる途中で溶けてしまったのか、『チンコ』っぽい形になってしまっていた…。
そういや『チョコ』と『チンコ』って文字が似てるよね?
真もそれを見て愕然とする。

「つ、ツイテルって言うなーーーっ!!!」

そう泣き叫びながら走り去っていく真。
何か思い出してはいけないトラウマに触れてしまったのだろうか…。
俺は真の背中を眺めることしか出来なかった…。


THE IDOLM@STER MASTER ARTIST 04 菊地真


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