765プロのバレンタイン 第五話


● 律子の場合 ●

「あ、プロデューサー! 探してたんですよ」
「おお、律子! 律子なら大丈夫だ! 律子ならあんなアホなことはしない!」
「なんのことですか? それより、今日はバレンタインデーなのでプレゼントです」
「ありがとう! 律子が常識人で本当にありがとう!」

俺は律子から受け取ったチョコの包装紙を破り、大きな口で一気にかぶりついた。
今までまともなチョコを食ってなかったから、嬉しかったのだ。

「あっ! プロデューサー! そんなに食べたら…」

「に、苦ーーーーーーーーーーいっ!!!」

俺はあまりの苦さにおったまげて、地面に倒れこみ、ゴロゴロと転がりながら咳き込み、その苦チョコを吐き出した。

なんだこの、インスタントコーヒーの粉をスプーンですくって直食いした時のような味は…。
そもそもコイツは本当にチョコだったのか?
チョコの姿をしたチョコ以外のおぞましい何かだったのかもしれない…。

「ああ…遅かったかぁ…」

律子は「あっちゃー」と言いながら、頭を手で押さえて後悔する。

「律子! 何ていう物を食わせるんだよ!? もうちょっとで舌がバカになる所だったじゃないか! バカになっちゃうのは亜美真美だけで十分だよ!」(ニコ動ネタ)
「すみません…。まさか、プロデューサーがいきなり食べ出すとは予想外でした…。私最近、健康食品にハマってまして…。『カカオ・ポリフェノール』がたくさん入ってる『カカオ99%』のチョコレートをよく食べてるんですよ…それで…」
「それを贈り物に使っちゃダメだろーっ!」


THE IDOLM@STER MASTER ARTIST 10 秋月律子


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