765プロのバレンタイン 第十話


● 春香の場合 ●

「プロデューサーさん! チョコレートですよ。チョコレート!」
「おお、春香! パティシエ・オブ・ザ・センチュリー(100年に1人のお菓子職人)と誉れ高い春香のチョコレートか! コイツは期待できそうだ」
「えへへ、そんなに凄い物ではありませんが…。はい、どうぞ」
「ありがとう春香…」

春香からチョコを受け取った時、俺の第六感(シックスセンス)がまた働いた!

流石の俺でも学習能力ぐらいはある。
つか、もう身体がもたないし、これ以上酷い目に遭うのはゴメンなのだ。

そこで俺は考えたね!

ジャパニーズ『O・DO・KU・MI!』

そう!
俺が食う前に誰かにチョコを食べさせて、反応を見ればオールオッケーというワケだ!

そんな時に都合よく、やよいがこちらにテクテクと歩いてくる。

「おーい、やよいーっ! ハイ、ターッチ!(やられキャラ交代の意味で)」

俺がそう言って右手を上げると、やよいは小犬のようにシッポを振って走り寄ってくる。
「パシッ!」とハイタッチが決まった瞬間、俺は『秘儀プロデューサー・ハンド』を使い、光速で春香のチョコを小粒に割り、やよいの口内へと放り込んだ。
この間、やよいとハイタッチをしてから0.3秒の出来事であった。

「うっう〜! なんか口の中で甘い味がするかも〜…って、うっ!」
「ど、どうした? やよい!?」

「ぷ、プロデューサー…、なんだか私の身体が…火照って…きて…。プロデューサーのことを見ていると…胸がドキドキして…切なくなってきてしまいました…。おマタの辺りも…グッショリ濡れてきてしまって…変な気分ですぅ〜。プロデューサー…私、プロデューサーのことが…」

その様子を見ていた春香は「ちっ!」と舌打ちしてから走り去って行く。
こ、これってひょっとして『ホレ薬』!?
それとも『媚薬』!?
もし、俺があのまま春香の前でチョコを食べていたとしたら、今頃俺は…。
閣下、お前ってヤツはどこまで黒いんだ…。


THE IDOLM@STER MASTER ARTIST 01 天海春香


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