アイマス二次創作SS
『765プロのバレンタイン』

【やよいの場合】

「うっう〜、プロデューサー! チョコ、受け取ってください!」
「おお、やよい! お前は本当に良い子だな〜。嬉しいよ」
「えへへ〜! じゃあ、プロデューサー。手を出してください」
「え? あ、ああ…」

やよいに言われた通りに俺が右手を差し出すと、
やよいはその掌に
『チョコベビー』1粒だけを出して乗せる。
それを見た瞬間、俺の涙腺は緩み、涙がこぼれた…。

「やよいっ! 俺、もっと頑張るからっ!
 有給取らずに毎日頑張るからっ!
 一緒にトップアイドルを目指そうな! なっ!?」

俺はそう号泣しながら言って、やよいを抱きしめた。

「は、はい…。って、プロデューサー! 何で泣いてるんですか!?」



THE IDOLM@STER MASTER ARTIST 02 高槻やよい



【伊織の場合】

「今日は慈善活動の日だっていうから、
 モテなくてチョコ一つ貰えない可哀想なアンタの為に、
 チョコを持ってきてやったわよ。
 感謝しなさいよねっ!」
「おお、伊織! ありがとう!」
「か、勘違いしないでよね…。
 別にアンタのことなんか、なんとも思ってないんだからっ!」

伊織が顔を真っ赤にしながら言って差し出したチョコは、
765プロの給湯室にある
「お盆」と同じくらいのデカさであった…。
しかも、包みを開封し中身のチョコを見ると、
ハート型の上、
ホワイトチョコで大きく
「義理」の文字入り。

コレをどう受け取ったらいいのか、判断が難しい…。(汗)


THE IDOLM@STER MASTER ARTIST 08 水瀬伊織/(釘宮理恵)


【亜美・真美の場合】

「兄ちゃん、兄ちゃん! チョコ持ってきたよー!」
「おお、亜美、真美! 俺はお前達のことを信じていたぞ!」
「じゃじゃーんっ! ここに出された3つのチョコの内、
 1つは
『漢方薬』入りの激苦チョコ!
「んふふ〜、兄ちゃんは亜美と真美からで、
2つ受け取ってよね!」
「ちょ、ちょっと待てお前ら!
 なんだその高確率でハズレを引くロシアンルーレットは!?」
「ロシアンルーレットじゃなくて
『ロシアンチョコ』だよ、兄ちゃん君!」
「この前、出演したバラエティー番組でコレをやったんだ!
 折角作ってきたんだから、ちゃんと受け取ってよね、兄ちゃん!」

結局、俺はハズレを引いて、トイレへ駆け込むことになった…。

あのバラエティー番組のスタッフめ!
なんちゅーことを子供にやらせてるんだっ!
もう二度とあの番組には出演させないからなっ!


THE IDOLM@STER MASTER ARTIST 06 双海亜美/真美


【美希の場合】


「ハニーッ! チョコレート作ってきたの!」
「おお、美希! お前はやれば出来る子だと思っていたよ!」
「はい、ハニー。残さず全部食べてね」

そう言って差し出されたモノは、どっからどう見ても
『おにぎり』です。
本当にありがとうございました(以下略)

「美希! これはチョコレートやない、おにぎりや!」

そう俺が美希に
『火垂るの墓』風ツッコミを入れると、美希は慌てて反論する。

「違うのハニー! 食べてみればわかるから、
 何も言わずに最後まで全部食べて欲しいの!」

美希が必死になって説得するので、その『おにぎり』を食べてみると…。

「あ、甘っ! なんだこりゃ!?
 このおにぎり、甘いぞ!?
 しかもちょっぴりビター!?」
「うん、
具がチョコになってるの!
 ハニーにも、美希の大好きな『おにぎり』の良さを知ってほしいから…。
 あ、
イチゴババロアチョコでも良かったんだけどね。
 やっぱり、美希はおにぎりが一番好きだから…」

美希よ…。
俺を「おにぎり好き」にさせたいのなら、そのチョイスは絶対に間違っている…。
やっぱり学校では円周率を「3.14」まで教えるべきだったんだ!
これは美希が悪いんじゃない!
全ては
「ゆとり」がいけないんだっ!


THE IDOLM@STER MASTER ARTIST 03 星井美希


【律子の場合】

「あ、プロデューサー! 探してたんですよ」
「おお、律子! 律子なら大丈夫だ! 律子ならあんなアホなことはしない!」
「なんのことですか? それより、今日はバレンタインデーなのでプレゼントです」
「ありがとう! 律子が常識人で本当にありがとう!」

俺は律子から受け取ったチョコの包装紙を破り、大きな口で一気にかぶりついた。
今までまともなチョコを食ってなかったから、嬉しかったのだ。

「あっ! プロデューサー! そんなに食べたら…」

「に、苦ーーーーーーーーーーいっ!!!」

俺はあまりの苦さにおったまげて、地面に倒れこみ、ゴロゴロと転がりながら咳き込み、その苦チョコを吐き出した。

なんだこの、
インスタントコーヒーの粉をスプーンですくって直食いした時のような味は…。
そもそもコイツは本当にチョコだったのか?
チョコの姿をしたチョコ以外のおぞましい何かだったのかもしれない…。

「ああ…遅かったかぁ…」

律子は「あっちゃー」と言いながら、頭を手で押さえて後悔する。

「律子! 何ていう物を食わせるんだよ!? もうちょっとで舌がバカになる所だったじゃないか! バカになっちゃうのは亜美真美だけで十分だよ!」(ニコ動ネタ)
「すみません…。まさか、プロデューサーがいきなり食べ出すとは予想外でした…。私最近、健康食品にハマってまして…。『カカオ・ポリフェノール』がたくさん入ってる
『カカオ99%』のチョコレートをよく食べてるんですよ…それで…」
「それを贈り物に使っちゃダメだろーっ


THE IDOLM@STER MASTER ARTIST 10 秋月律子


【真の場合】

「あっ、プロデューサー!」
「おお、真! 表に大量のチョコを積んだ
ダンプが3台とまってたぞ。アレは全部、真のファンからの贈り物か?」
「はい…、気持ちは嬉しいんですけど、本当に数は暴力ですよね…。ファンからの贈り物を捨てちゃうワケにはいかないし、かと言って貸し倉庫を借りると一ヶ月に数百万かかるらしいし…一体どうすれば…」

頭を抱えて悩みだす真。

「やよいだ。やよいにやろう真。765プロのみんなに配りまくれば結構減らすことができると思うぞ。あと、メッセージカードとか手紙だけ抜いて、中身は街頭で配るゲリライベントでもやるか? ティッシュ配りみたいに」

「は、はい…。ご迷惑をかけてすみません…」
「じゃあ、手配してくるから待っててくれ」
「はい…って、待ってくださいプロデューサー!」
「ん? まだ何かあるのか?」
「今日はその…バレンタインじゃないですか?」
「ああ、そうだな。だから真がこんなに困ってるんだ。早くなんとかしないとな」
「うわあ! そうじゃなくてっ!」
「え? 何かおかしなこと言ったか?」
「い、いえ! プロデューサーが、ではなくてですね…その…」
「どうしたんだ? 今日の真はなんかおかしいぞ?」
「実はその…プロデューサーにあげるチョコを作ってきたんです…」

真はそう言って後ろ手に隠し持っていたチョコを、俺の前に差し出す。

「おお、真が…俺にか!?」

やっべ、真が
女の子だったの、素で忘れてた…。(汗)
でも、このことを真に言うと傷つけちゃうから、黙っていよう…。

「はい…手作りチョコは初めてだったので、あまり自信はないのですが…」
「ありがとう、嬉しいよ真」

俺はそう言って真からチョコを受け取り、包装紙を取り、中身を見ると…。

「へへ〜、ゾウの型を使って作ったチョコなんですよ!」

こ、これはゾウって言うか…。
持ってくる途中で溶けてしまったのか、
『チンコ』っぽい形になってしまっていた…。
そういや『チョコ』『チンコ』って文字が似てるよね?
真もそれを見て愕然とする。

「つ、
ツイテルって言うなーーーっ!!!」

そう泣き叫びながら走り去っていく真。
何か思い出してはいけないトラウマに触れてしまったのだろうか…。
俺は真の背中を眺めることしか出来なかった…。


THE IDOLM@STER MASTER ARTIST 04 菊地真


【千早の場合】

「プロデューサー!」
「おお、千早! ど、どうしたんだ? その着物は!?」
「はい、これは歌手の大先輩である、島倉千代子さんを意識した衣装です」
「なんだ千早、演歌にも挑戦するのか?」
「はい…と言っても今日限りですが…。
 その…プロデューサーの為に練習してきました。
 歌う曲は『ちよこまち』です」
「ま、まさかとは思うが…バレンタインの
『チョコ』とかけて、
 
『島倉チヨコ』だなんて言うんじゃないだろうな…?」

俺がそう言うと、図星だったのか千早は顔を真っ赤にしてから
「くっ!」という声を残して、走り去ってしまった…。

そういえば千早…、駄洒落とか大好きだったな…。
この前は
「鏡の前でかがみます」で、
お腹を抱えて笑いを堪えていたし…。(※ドラマCD参照)

俺はそんな千早も嫌いじゃないぜ…。


THE IDOLM@STER MASTER ARTIST 05 如月千早 (CV: 今井麻美)


【あずさの場合】

「あの〜、プロデューサーさん。
 この前言っていた『あずチョコ』、持ってきました」
 (※360版コミュ『2月の仕事』参照)
「おお、あずささん…。今日は貴女が女神様に見えます…」
「ふふっ、そんな女神だなんて…。お上手ですね。
 はい、プロデューサーさん。どうぞ」

あずささんから貰ったチョコはいたって普通の『ミルクチョコ』であった。
確か、あずささんの『あずチョコ』は『あんず』が隠し味に
入っているから『あずチョコ』なんだよな。
『あんず』のチョコだったら普通に美味しそうだ。

「実はプロデューサーさんの『あずチョコ』には
 『あんず』以外にも隠し味が入ってるんですよ」

あずささんはそっと俺に耳打ちする。

「え? あんず以外にも? 一体何が入ってるんですか?」
「そんな…私の口からなんて…言えません…」

あずささんは両手で顔を覆いながらそう言う。

「じゃあ、せめてヒントだけでも!」
「ヒントは…ん〜、そうっ! ヒントは
『ミ・ル・ク』ですぅ〜。うふふっ」

その言葉を聞いた瞬間、俺の額辺りで「種」が割れる感覚があった。
『ミルク』って…。そんなまさか…。
いや、それは流石にないだろ?
でも、ひょっとしたら…。
『ミルク』って…あずささんの
『母乳』!?
『母乳』で作ったミルクチョコって!
どんだけエロいんだあずささん!
俺はもう…もうっ!

「気に入っていただけましたか? プロデューサーさん」
「はい、そりゃあ、もう! 俺、気に入っちゃったよ!
 このチョコならいくらでも食べられます!」
「うふふっ、喜んでいただけて嬉しいですぅ〜。
 じゃあ、予備にあと2枚ほど作ってきたんですけど、コレもどうぞ」
「はい! いただきます!」

数日後、俺は知ることになる…。
『あずチョコ』のもう一つの隠し味というのは、
実は
『海のミルク』である『牡蠣』であったことを…。
しかも、天然ボケなあずささんは
賞味期限切れの『牡蠣』
を使ってしまったらしく、
俺は見事に牡蠣にあたってしまい、
3日間寝込むことになった…。
だが、この時の俺はそんなことを知る由もなく、
調子に乗ってバカ食いしていた…。


THE IDOLM@STER MASTER ARTIST 07 三浦あずさ


【雪歩の場合】

「ぷ、プロデューサー! あ、あの…お渡ししたい物があります…」
「おお、雪歩!」

雪歩は男性が苦手なハズなのに…。
きっと勇気を振り絞って来てくれたんだろうな。
くぅ〜、俺はメチャクチャ嬉しいぞ雪歩!

「手作りは初めてで…あんまり自信がなくて、
 私と同じでダメダメなチョコかもしれませんけど…。
 プロデューサーのことを想いながら作りました!
 食べてください!」

雪歩は頬を赤らめて、お辞儀をしながら両手でそのチョコを差し出す。

「ありがとう。嬉しいよ、雪歩」

俺は雪歩から包みを受け取ると、そこで開封し、チョコを取り出す。
すると、そのチョコは「緑色」をしていた。

「私、お茶が好きだから、お抹茶が入っているチョコを作ってきたんですぅ…」

そういえばそうだったな。
抹茶チョコならよく売っているし、味も普通に美味いハズ。
俺は安心してそのチョコをほおばった。

「ん? なんだろう、この味…」

お茶の味は確かにするのだが、チョコの味が全くしない…。
というか、明らかに変なハッパの味で気分が悪い…。
それに…なんか…アルェ? おかしいぞ…。
雪歩が二人に…見える…いつからゆきぽも双子に!?

そこに雪歩の家の
黒服姿の『お弟子さん』が登場!
そして雪歩にそっと耳打ちし…。

「え!? あれはチョコはチョコでも、
 
いけない薬の方のチョコ(大麻)!?

俺はそれを聞いて「ぶふーーっ!!」
チョコ(大麻)を噴出した。
通りで
変な幻覚が見えるハズだ!
っていうか、雪歩の家って、やっぱり…。
ガクガクブルブル…。

「ぷ、プロデューサー! ごめんなさい!
 私、おっちょこちょいで、ひんそーで…。
 穴掘って埋まってますぅーーっ!!」
「ま、待って…穴掘って埋まる前に…俺を病院へ…」

雪歩はどこから取り出したのか、
スコップで事務所の床を掘り抜き、埋まって行ってしまった…。


THE IDOLM@STER MASTER ARTIST 09 萩原雪歩


【春香の場合】

「プロデューサーさん! チョコレートですよ。チョコレート!」
「おお、春香! パティシエ・オブ・ザ・センチュリー(100年に1人のお菓子職人)と誉れ高い春香のチョコレートか! コイツは期待できそうだ」
「えへへ、そんなに凄い物ではありませんが…。はい、どうぞ」
「ありがとう春香…」

春香からチョコを受け取った時、俺の第六感(シックスセンス)がまた働いた!

流石の俺でも学習能力ぐらいはある。
つか、もう身体がもたないし、
これ以上酷い目に遭うのはゴメンなのだ。

そこで俺は考えたね!

ジャパニーズ『O・DO・KU・MI!』

そう!
俺が食う前に誰かにチョコを食べさせて、
反応を見ればオールオッケーというワケだ!

そんな時に都合よく、やよいがこちらにテクテクと歩いてくる。

「おーい、やよいーっ! ハイ、ターッチ!(やられキャラ交代の意味で)

俺がそう言って右手を上げると、
やよいは小犬のようにシッポを振って走り寄ってくる。
「パシッ!」とハイタッチが決まった瞬間、
俺は『秘儀プロデューサー・ハンド』を使い、
光速で春香のチョコを小粒に割り、やよいの口内へと放り込んだ。
この間、やよいとハイタッチをしてから0.3秒の出来事であった。

「うっう〜! なんか口の中で甘い味がするかも〜…って、うっ!」
「ど、どうした? やよい!?」

「ぷ、プロデューサー…、なんだか私の身体が…火照って…きて…。プロデューサーのことを見ていると…胸がドキドキして…切なくなってきてしまいました…。おマタの辺りも…グッショリ濡れてきてしまって…変な気分ですぅ〜。プロデューサー…私、プロデューサーのことが…」

その様子を見ていた春香は
「ちっ!」と舌打ちしてから走り去って行く。
こ、これってひょっとして
『ホレ薬』!?
それとも
『媚薬』!?
もし、俺があのまま春香の前でチョコを食べていたとしたら、今頃俺は…。
閣下、お前ってヤツはどこまで
黒いんだ…。


THE IDOLM@STER MASTER ARTIST 01 天海春香


【小鳥の場合】

「プロデューサーさん! 今日も大変そうですね」
「あっ、小鳥さん! 実はそうなんですよ…変なチョコばっかり食わされてしまって…」
「ふふふっ、そんなこと言って、プロデューサーさんのことだから、アイドルの女の子達からいっぱいチョコを貰ってるんでしょう? 2x歳(にじゅうちょめちょめさい)のチョコなんて、今更いらないかなー?」
「そんな…。とんでもないですよ! いります、いります!」
「本当ですか? じゃあ、どんなチョコでも最後まで食べてくださいね?」
「ええ、そんなことで良ければ、喜んでっ!」

そう言って綺麗にラッピングされたチョコを受け取り、開封すると…。

「あ、あの…小鳥さん…」
「はい? 約束したんですから、全部食べてくださいね」

「なんで『社長』の顔をしたチョコなんですかっ!? いやがらせにも程がありますよ!?」

「さあ、プロデューサーさんは『社長チョコ』をどんな顔をして食べるのかしら…。はぁ、はぁ…妄想鼻血が止まらないわ


THE IDOLM@STER MASTER ARTIST FINALE 765プロ ALLSTARS

END

文章:妹尾拓(旧ATF)

(2008/2/14)


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